以前から、ブログやツイッターで「ソニー生命の変額保険がすごい(運用成績が良い、インデックス投資より儲かる)」って聞くことがありました。
インデックス投資家のなかにも「ソニー生命の変額保険に入るのはアリ」という記事があったような?
ホントにそんなにすごい保険なのか、すごい儲かるのか気になって、情報を集めてみました。
言わずもがな、保険に入る・入らないは個人の勝手なので、あくまで私が入りたいかどうか、個人の好みの話です。
(記事は2020年10月の話で、2022年に世界株の投資先が投資信託に変更されてます)
- ソニー生命の変額保険(バリアブルライフ)
- ソニー生命保険(世界株式型)はすごいリターン
- ソニー生命の中の人、バフェットっぽい?
- ソニー生命が一番儲かる
- モルガンのプレミアムOPが似てる
- モルガンのプレミアムOPのほうが低コスト
- アクティブとバフェット
- ソニー生命(世界株式型)は買いか?
ソニー生命の変額保険(バリアブルライフ)
ソニー生命の公式ホームページを見ると、2つタイプがあって、
- 変額保険:終身型(無配当)=死亡または高度障害状態で保険金を受け取れる
- 変額保険:有期型(無配当)=満期になったら保険金を受け取れる(死亡または高度障害状態も可)
オプションとか細かい条件は違いますが、保険料の元になる投資の運用は同じなので、今回は、ソニー生命の変額保険(バリアブルライフ)の投資先と、実際に保険加入者が受け取れるリターンにしぼって話をしたいと思います。
保険の仕組みが複雑で、資料を見ても実際のコストがわかりません。
2019年度の運用関係費用は世界株式型0.5469%ですが、これは手数料のごく一部です。加入者が支払う手数料(保険関係費用含む)は他にもたくさんあります。
変額保険なので、投資成績に加えて、オプション(保障内容)、積立か一括払いなど、条件が複雑なので、加入者が受け取れるリターンを予想するのがすごい難しいです。
ソニー生命保険(世界株式型)はすごいリターン
ソニー生命の変額保険には、債券とか日本株とかインデックスの世界コアとか、いろいろあって、今回は「世界株式型」というタイプだけの話になります。
他のタイプに変えたり(スイッチング)、配分の変更(アセットアロケーション)もできるらしく、なかなかアクティブな保険だなと思います。
そしてリターンは1999年の設定来745%、年率10.75%、噂どおり、すごい儲かってる。これを見たら、ソニー生命保険(世界株式型)に入りたくなるのわかります。
赤字がソニー生命(世界株)、薄い緑がベンチマークのMSCIワールドインデックスです。 上下の動きがはげしいですが、赤線のソニー生命、インデックスに大差で圧勝してます。
ソニー生命の中の人、バフェットっぽい?
ソニー生命(世界株)は、MSCIワールドインデックスより20年も高リターン、その中身はどうなってるか見てみると、
https://www.sonylife.co.jp/contractor/operation/pdf/nenji.pdf
「モルガン~助言を受けて、組み入れ銘柄の選定を行います」
(リンク先のとおり、2022年9月以降、投資信託への投資に変更されています)
ソニー生命の中の人が、モルガン社からアドバイスをもらいながら、世界中の株を買っている、ということで、モルガン社もプロでしょうが、ソニー生命の中の人もけっこう優秀だなと思いました。
投資信託=ファンドじゃなくて、ソニー生命の中の人が株を買ってる変額保険。ソニー生命の中の人が誰なのか気になります。
買ってる株は、2020年3月のレポートで1位マイクロソフト、2位レキットベンキーザー・グループ(Reckitt Benckiser Group plc)
レキット、レキット?、知りませんでした、日用品のイギリスの会社で、日本だとミューズとか売ってます。3位フィリップモリス、たばこの会社。
セクター1位が消費財、2位が医療機器、ハイテクまみれじゃないところが好きです。それぞれの銘柄が違う動きしそうで分散効果もあって、消費財が多いからディフェンス力もありそう。
(マイクロソフトとアルファベット(Google)を合わせると11%になり、これが多いか少ないかは個人の好みによります)
消費財とかバフェットっぽい(勝手なイメージ)
ソニー生命の中の人、モルガン社のアドバイスをもらってバフェットっぽい感じで運用中
ソニー生命が一番儲かる
じゃあ保険に加入した人が儲かるのかと言うと、そうは問屋が卸しません。
保険を買うとき、保険を持ってるとき、年金で受け取るとき、常に手数料を引かれ続けて、保険加入者のリターンは、ざっくり年率3.5%まで下がる予想となってます。(あくまで予想です)
年率10.7%が年率3.5%に下がって、つまりソニー生命は年率7.2%を手数料で持っていくわけです。(これもおおよその予想です)
高いリターンを宣伝に保険加入者が増え、保険加入者にはほどほどのリターン(年率3.5%)を渡しながら、一番儲かるのはソニー生命(年率7.2%)。さすがソニー生命の中の人、やっぱり優秀です。
もう1つ2017年のブログですが、情報がもりだくさんで参考になりました。
ソニー生命の変額保険(バリアブルライフ)は解約します。という声が増えている理由 - 小学生にも分かる投資の授業
モルガンのプレミアムOPが似てる
保険が手数料高いのはわかってるし、死亡保障付いてるからいいねん、って人はソニー生命を選ぶと思いますが、
私は邪な気持ちで「ソニー生命の保有株が好みだ、でも手数料が高すぎてダメだ、同じタイプで手数料が低い投資信託があったら私がぼろ儲けできる」ということで、ソニー生命にアドバイスしているモルガン社に注目しました。
ツイッターの博識な人たちによると、ソニー生命(世界株)の中の人は、アドバイザーかコンサルかなんかで、モルガン・スタンレー・グローバル・フランチャイズ運用戦略をベースにして買っているらしいです。
この運用戦略と似ている運用している投信が「モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン」です。
モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし) | 投資信託なら三菱UFJアセットマネジメント
なるほど、全く同じではないですが、モルガンのプレミアムOPはソニー生命の投資先(保有株)に似てます。
モルガンのプレミアムOPのほうが低コスト
アクティブファンドなので、コストが高い、プレミアムというキャッチー(釣り宣伝)な名前が怪しいのが心配です。
買うとき3.3%(購入手数料)、投資している時1.9%、実質コストはもっと高い。
そもそもプレミアムって何なのか。
投資信託の世界のプレミアムという言葉について | 現役金融マンM氏の金融・投資本研究
プレミアムという言葉じゃなくて中身が大切ってことですね。
モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープンは高コストだけど、保険のソニー生命よりはコストが低いです。くりかえしますが、ソニー生命と完全に同じというわけではないので、投資成績も違います。
アクティブとバフェット
アクティブファンドはインデックス投資に負けることのほうが多い、しかも長期になるほど負ける、という話は有名です。
アクティブファンドはなぜインデックスファンドに勝てないのか | つみたてシータ
もちろん、高いリターンが十年以上続くアクティブファンドもあるので、必ずインデックス投資に負けるわけではありません。
でも、未来に向かって高リターンが続くアクティブファンドを選ぶことは、個別株を選ぶのと同じような判断力がいるような気がします。
どんなアクティブファンドがインデックスに勝てるのか? | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
上記の記事に常勝のアクティブファンドとしてバフェットのBRK-B - バークシャー・ハサウェイが出てきます。バフェットは投資の神様と呼ばれるほど有名な御仁です。
消費財が多いからバフェットっぽいと勝手に思ったけど、BRK-B - バークシャー・ハサウェイの投資銘柄を見てみると、
Berkshire Hathaway Portfolio Tracker
マイクロソフトはありません。ビルゲイツと友達だからインサイダー疑われるのが嫌だったとか、単に買い逃したとか言われてます。アルファベット(Google)もありません。
アマゾン0.1%、アップル5.9%、バフェットさんにとってアップルはハイテクではないらしいです。
ソニー生命はバフェットっぽいと思ったけど、バークシャー・ハサウェイとは違いました。(当たり前)
ソニー生命(世界株式型)は買いか?
ひょっとして、この保険に入れば簡単に儲かるんじゃないか(邪)と調べ始めた結果のまとめです。
- ソニー生命(世界株式型)はハイテクまみれじゃなくて成績優秀、でも一番儲かるのはソニー生命
- モルガン社もソニー生命の中の人もすごいけど、この先、例えば米国株が低迷した時、好成績が続くかどうかはわからない
- 保有株が似ているアクティブファンドのモルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープンのほうがまだコストは安い、買うならこっちかな?
- ソニー生命は消費財セクターが多いけど、バフェット=BRK-B - バークシャー・ハサウェイ(マイクロソフトは保有してない)と投資先は違った
- ソニー生命より年率5%(が期待できる)S&P500とかのほうが、私は好きかな
情報を集めてみて、保険で資産を増やすのは高コストすぎて無理、という基本的なことがわかりました。まとめとしてはソニー生命は保険としても、投資としても欲しくないという感想です(個人の考えです、ソニー生命の投資先は面白いと思う)。
保険の基本は「可能性は低いけど、もしも起こったらすごい困ること(賠償が高額とか)」に掛け捨てで入るもので、資産運用には向かない、とよくわかりました。
保険の仕組みや手数料(コスト)は本当にわかりにくいです。素人から見たら、保険を売っている側の企業や販売員はわざと加入者に不利な情報を隠してますね。そんな売り方が許されるルール自体が間違ってます。
保険を売る人は美味しい話しか言わない、本当に儲かるのは保険を売ってる側だとしっかり覚えておくことが大事ですね。
【追記】この記事にコメントをいただいのですが(下のコメント欄)、10年以内に解約すると違約金(ペナルティーでこちらがお金を支払う)もあるらしいです。保険屋さん達、そういうことは資料にはっきり書くべきだと思います。
【2022年9月、世界株の変更】人気の変額保険なので1兆6000億越え、規模が大きくなりすぎ、個別株の選定では運用できなくなったらしいです。ソニー生命が投資信託「グローバルクオリティファンドSL」を立ち上げて、そこにモルガンスタンレーから助言を受ける方式に変更になりました。投資信託の信託報酬など、手数料(コスト)が追加になったようです。投資方針は同じらしいですが、そんなことがあるんですね。