インデックス投資を長年実践されている、水瀬ケンイチさんの著書「お金は寝かせて増やしなさい」(Kindle版)を読みました。
私は20代の頃から投資に興味があって、水瀬さんの投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」を読んできました。
リーマンショック、東日本大震災、大きく相場が急落したり乱高下する中、著者は、インデックス投資を淡々と長期に実践しています。
インデックス投資はシンプルな運用法なのに、長期で実践するには、想像より難しいことがたくさんあると思います。
長期で実践する心構えを著書から学んでみました。
インデックス投資の基本から応用まで学べる良書
前半はインデックス投資の基本的な考え方と、投資方法を書いてあります。
後半になるにつれて、投資を継続するためのポイントや暴落時の対応、終わり方など、いわば応用編になります。
とくに、第5章の15年実践記は経験談や物事の捉え方がとても面白く、ワクワクしながら読みました。
もくじ
コミック 第1話「未来、投資の神様と出会う」
プロローグ 私がたどり着いた「寝かせてお金を増やす方法」
第1章 金融のど素人でもプロと互角以上に叩ける「インデックス投資」
第2章 寝かせて増やすインデックス投資の実践法
コミック 第2話「堅実貯金派の未来がいよいよインデックス投資を始める! 」
第3章 おすすめの金融機関&口座開設の手順と気になるNISAとiDeCo
第4章 始めるのはカンタンだけど続けるのは意外と難しい
コミック 第3話「100年に一度のリーマン・ショックの危機到来! 」
第5章 涙と苦労のインデックス投資家15年実践記
第6章 貴重情報! インデックス投資の終わらせかた
コミック 最終話「人が幸せを望む限り……」
エピローグ 寝かせて増やすことはつまり人の未来を信じるということ
インデックス投資を長期で実践する心構え
15年の投資損益の貴重な推移データ
「第5章 涙と苦労のインデックス投資家15年実践記」の中で、投資に使った金額(元本)と投資したリスク資産の評価額が図で示されています。
以下はリターンや含み損に注目してしまう個人的な意見
- 15年間のインデックス投資を実践した損益推移の貴重なデータ
- トータルリターンは予想される理論値より低いと思う、一方で、実際やったらこれぐらいかな?とイメージに近い
- シンプルで再現性がある投資法のリターンとしては十分、しかし、このリターンに不満足な人もいるだろう
- 15年間のうち、大きな含み損の期間が数年ある、この時に積立を続けることが重要
- 今後、大きな暴落が来たら含み損になる可能性がある、つまり、15年間投資しても、含み損になる時はなる、仕方ない
この投資元本と評価額の図のおかげで、インデックス投資の成果を客観的に見ることができます。
最近、インデックス投資の「良い面」「すばらしい面」だけが強調されるような気がしますが、他の投資法と同じく、人によって向き不向きがあるし、必ず儲かる投資法ではありません。
インデックス投資で損益を意識することはむしろ邪魔
インデックス投資はバイ&ホールドで資産を相場にさらし続けて、相場の変化を丸ごと受け入れる投資なので、短期間の利益も損失も気にすることに意味はありません。
(決めたアセットアロケーションに従って定期的なリバランスはするよ)
インデックス投資のブログは、アセットアロケーションは書いてあるけど、損益を書いていないブログもよく見かけます。
それは投資法において損益に意味がなく、むしろ、含み益・含み損を気にしていたら、タイミングを考えない機械的な積立、リバランスの邪魔になるからだと思っています。
資本主義経済の拡大を実感
リーマンショックの大暴落からV字回復の経験談が印象的でした。
- ランダムに変動する相場の動きも、長期的に見れば平均へ回帰する(平均回帰性)
- 「ひと儲けしたい」という人間の欲がある限り、資本主義経済は拡大する
- 大暴落でも相場に留まり続けることで、V字回復の「稲妻の瞬く瞬間」に居合わせることができる
数値的な回帰の性質と、内面的な人間の欲、相場に留まり続ける(投資を続ける)、これらは、資本主義経済の拡大に資産を委ねるインデックス投資の欠かせないポイントだと思いました。
自分で調べて、考えて、腑に落ちて、実践する
長期投資の理論的な根拠を調べて、さらに自分の考えを追加し、腑に落ちて、実践する。実践したことを反証して、改善する。
その積み重ねが、一つの投資方法を長年、継続できたポイントだと思います。
インデックス投資に限らず自分の投資方針を考える時に、主体的に物事を考える姿勢は重要だと本全体を通して思いました。
長期投資に興味があるなら、是非、読んでみることをお勧めします。