【2020年1月更新】
投資信託(投信)の信託報酬はこの10年でどんどん低コストになっています。ついに信託報酬0.2%を下回る投信も登場しました。
信託報酬は、投信を買った後、保有している間に払う手数料です。だけど、実際には、投資家は信託報酬以上の手数料を支払います。信託報酬+αの実際の手数料が「実質コスト」と呼ばれてます。
運用報告書で実質コストがわかる
信託報酬に加えて、投信の運用にかかわる全てのコスト(手数料)の合計が、実質コストです。
実際に運用で必要だったコストだったから、実質コスト。信託報酬に+αのコストがあるなら明記してほしいけど、実質コストは運用中に変動するので、運用報告書がでるたびに数値が変わってしまいます、だから何%って数字は明記できません。
なんと、実質コストが信託報酬の2倍になってしまう投資信託もあるから、自分が保有している投資信託の実質コストはチェックしましょう。
ちなみに、設定されて1年未満の新しい投資信託は実際の実質コストはまだわかりません(推測はできます)。
先進国株式クラスの投資信託の実質コストを比べてみる
ニッセイ外国株式
ニッセイ外国株式インデックスファンドの2017年(第4期)の年間の実質コストをチェックしてみます。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド投資信託のニッセイアセットマネジメント
ニッセイ外国株式の運用報告書のPDFを開きます。
一万口あたりの費用明細の表で、一番上に信託報酬、そのほかのコストがずらっとあって、一番下に合計のコストが書かれています。
信託報酬:0.215%(投資信託会社、販売会社、受託会社の手数料の合計)
売買委託手数料:0.007%
有価証券取引税:0.020%
その他費用:0.073%
合計:0.315%(これが実質コスト)
たわらノーロード先進国株式
たわらノーロード先進国株式の2017年(第2期)の実質コストをチェック
たわらノーロード 先進国株式|ファンド情報|アセットマネジメントOne
一万口あたりの費用明細の表にあるとおり。
信託報酬:0.243%(投資信託会社、販売会社、受託会社の手数料の合計)
売買委託手数料:0.004%
有価証券取引税:0.004%
その他費用:0.031%
合計:0.281%(これが実質コスト)
信託報酬はニッセイ外国株式(低)<<たわら先進国(高)なのに、実質コストはニッセイ外国株式(高)>>たわら先進国(低)になっちゃう。
なので、実際の実質コストを比べたら、たわら先進国のほうが低コストな投資信託ということになります。
売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用が違うのは、運用方法の違いが原因でしょうか?
投資信託の仕組みはどうなっている?
大和証券の「つみたての森」に初心者向けの積立投資の説明があります。
投資信託ってなんだろう?
投資信託は、複数の投資家から集めた資金をひとまとめにして専門家が運用し、その運用成果を投資家に配分するしくみの金融商品です。
運用する先の金融商品は、国内外の株式や債券など様々ですが、基本的には各投資信託の運用方針やテーマに基づいて運用します。
投資家は、証券会社などの販売会社を通じて投資信託を売買することができます。
投資信託のしくみ | これからはじめる積立投資 - 大和証券
投信の手数料(コスト)とは
信託報酬は、販売会社、受託会社、運用会社に支払う手数料です。実質コストのうち、売買委託手数料は、市場の株式・債券を売り買いするためのコスト。
投資家は販売会社を通して間接的にその投信信託を運用している運用会社と受託会社に手数料を払っています。
投資家にとって、信託報酬を含む実質コストは、投資信託を保有している時のコストです。
購入手数料は投信を買うときに取られる手数料ですが、最近のインデックス投資信託はほとんどが購入手数料が無料です(ノーロード)。購入手数料がある投信は選ばないようにするのがいいでしょう。
信託財産留保額は投信を売る時に支払う手数料です。投信を解約するペナルティー料とも言われますが、投資信託を安定して運用するために必要な経費です。こちらは、最近のインデックス投信でもたまにみかけます。
手数料(コスト)は長期投資で最も重要
長期投資であればあるほど、投信信託の基準価額に差が生じるので、数パーセントの信託報酬を含めた実質コストの違いは重要です。
毎年、毎年、実質コストを支払うので、それだけ資産は目減りします。1年で1%なら、10年で10%、利益から差し引かれます。それ以上の利益がないと元本割れで損をします。
1口当たりの基準価額が1000円違うと、100口持っていれば、10万円違ってきます。投資家が毎年払うコスト(手数料)は数十年積み重なって、無視できない大きな金額となり、利益を蝕んでしまいます。