【2019年12月追記】
今までの投資方針を整理して、自分ができる範囲の合理的な投資をしようと、前回はアセットアロケーションを決めなおした。
今回は、投資する商品を決めようと思います。
- リスク資産を何で運用するか
- 投資信託と海外ETFを使い易さで比べる
- 投資信託と海外ETFをコストで比べる
- 買付コストが一部の海外ETFで無料
- 国内外の税金の仕組みが難しい
- 確定申告が不要ならやりたくない
- 1000万円以上のリスク資産ならETFで投資するのが合理的
- 自分のリスク資産の大きさと未来は?
- 国内、先進国、新興国の投資信託をそれぞれ購入
リスク資産を何で運用するか
一括投資だから海外ETFのVTで決まり?
今回はリスク資産に一括で投資するので、海外ETF(上場投資信託)のバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)にしようと、始めは思いました。
VTは全世界株式クラスを時価総額比重に近く、日本国内、先進国、新興国 vs 8.4%、82.3%、9.4%に投資し、リバランスも自動で定期的にしてくれます(FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスがベンチマーク)。
まさに、世界株式にまるごとこれ1本で投資できる人気のETF。
保有コストである経費率は2018年2月23日に0.11%から0.10%へ引き下げられました。今後も、経費率の引き下げが期待できます。
投資信託でもいいかもしれない?
だけど、海外ETFと投資信託の特徴を調べれば調べるほど、投資信託でいいかも?と思うようなりました。
海外ETFと投資信託を使い易さとコスト面から比べてみたけど、はっきり優劣をつけるのは難しかったです。
最後は、投資する人の好みで決めればいいと思います。昔ほど、コストの差は大きくないし、ETFも投資信託もそれぞれの良さ・弱点があります。
投資信託と海外ETFを使い易さで比べる
〇は良いメリット、✕は悪いデメリット
投資信託
〇100円の小額から購入できる
〇指定したピッタリの金額で購入できる
〇毎日、毎週、毎月の自動積立サービスがある
〇定期売却サービスがある(SBI証券の特定口座)
〇配当金の再投資が自動
〇給与が振り込まれ、資金が続く限り、ボタン一つ押さなくても積立投資が続く
〇個人的に、自分が突然天国に行っても、家族が管理or現金化しやすい
海外ETF
〇セクター別、国、地域、指数別などの種類が豊富
〇自動積立サービスがある(SBI証券)
✕積立サービスがない証券会社では購入は手動
✕ドル決済には事前にドル転が必要(〇SBI銀行でドルの自動積立サービスあり)
✕買付時に金額でピッタリ買えない(端数がでる)
✕配当金の再投資は手動、自動再投資できない
投資信託と海外ETFをコストで比べる
〇は良いメリット、✕は悪いデメリット、特定口座での運用を想定。NISA口座では配当金は非課税、ETFの購入手数料無料など、各証券会社で優遇あり。
投資信託
〇ほとんどの場合、買付する手数料は無料
〇自動再投資の場合は、配当金を非課税で再投資できる(配当金の国内課税(20%)が繰り延べされる)
〇投資信託の保有額によってポイントがつく
〇楽天ポイントで買える(楽天証券)
〇分配金の米国課税(10%)の一部は外国税控除で取り戻せる
✕信託報酬以外にコストが掛かる(実質コスト)
✕信託報酬を含む実質コストはETFの経費率より高いことが多い
✕自動再投資される配当金の米国課税(10%)は取り戻せない
海外ETF
〇経費率は投資信託の信託報酬を含む実質コストより低い
〇確定申告で米国課税(10%)の一部が外国税額控除で取り戻せる
〇ドル決済では事前に円から外貨(米ドル)に両替すると為替コストを安くできる
〇配当金が定期的に振り込まれるので、嬉しい
✕米国株(海外ETF)の手数料は約定代金の0.45%以下、低コストだが、買付の手数料が発生する。一部の海外ETFは買付手数料が無料。
✕自動再投資できない、配当金は国内課税(20%)される
✕配当金の再投資に手数料がかかる
買付コストが一部の海外ETFで無料
2020年1月から一部の海外ETFの買付手数料が無料になりました。
SBI証券は以下の、9つの海外ETFの買付手数料が無料です。
- バンガード トータル ワールド ストックETF(VT)
- バンガード S&P 500 ETF(VOO)
- バンガード トータルストックマーケットETF(VTI)
- iシェアーズ S&P 500 ETF(IVV)
- SPDR S&P 500 ETF トラスト(SPY)
- ウィズダムツリー インド株収益ファンド(EPI)
- ウィズダムツリー米国株高配当ファンド(DHS)
- ウィズダムツリー米国大型株配当ファンド(DLN)
- ウィズダムツリー米国株クオリティ配当成長(DGRW)
国内外の税金の仕組みが難しい
特定口座で海外ETFの課税
ETFは配当金が定期的に課税された後に振り込まれます。
- アメリカの企業に投資するETF:配当金には米国(10%)、国内(20%)の2重課税
- アメリカ以外の企業に投資するETF:配当金には、現地国(10%)、米国(10%)、国内(20%)の3重課税
米国課税(10%)は確定申告で外国税額控除することにより一部を取り戻せます。500万円の年収で10%のうち4割ぐらいが取り戻せる予想です。
年収が高いほど、この取り戻せる割合が高くなります。もちろん、同じ年収でも前提条件で違いがでます。
調べる前は、確定申告の外国税額控除で米国課税(10%)が全額取り戻せると思っていたら、それは間違いでした。年収により取り戻せる割合が違います。
特定口座で投資信託の課税
投資信託には配当金を自動再投資できます。
投資信託の配当金の国内課税(20%)が非課税で再投資されて、課税が繰り延べされます。課税のタイミングが後になるだけです、将来的に投資信託を売却する時に課税されます。
- アメリカの企業に投資する投資信託:配当金には米国課税(10%)だけ課税されて自動再投資
- アメリカ以外の企業に投資する投資信託:配当金には、現地国(10%)、米国(10%)の2重課税され後、自動再投資
投資信託では自動再投資される配当金への米国課税(10%)は取り戻せません。
投資信託の分配金は外国税控除できるように
2020年1月から投資信託でも分配金の外国税控除ができるようなりました。
内外での二重課税が生じないよう、公募投資信託等を経由して支払った外国税は、当該公募投資信託等の分配金に係る源泉所得税の額から控除できる
これまでは投資信託は分配金がないほうが、税金の繰り延べ効果が得られるので、長期保有した後のリターンは高いと言われてきました。
しかし、分配金が外国税控除されるとなると、分配金として受け取ったほうがリターンが高くなる可能性があります。
- 分配金を受け取る:国内課税(20%)あり、米国課税(10%)を外国税控除
- 配当金を自動再投資:国内課税(20%)を繰り延べ(将来、まとめて払う)、米国課税(10%)は課税
分配金として受け取るか、配当金を自動再投資か、どっちが数十年後にリターンが高くなるか、単純な比較は難しそうです。
NISA口座は課税が違う
一般NISA口座ではETFが買えます。非課税口座の一般NISAでは、国内(20%)課税は非課税です。非課税口座なので外国税控除はできない、というのが一般NISAで海外ETF投資をするデメリットです。
つみたてNISAで投資信託を買って、分配金をもらった時、これまでのながれなら、国内(20%)課税は非課税、外国税控除はできない、というルールが予測されます。
外国税額控除で取り戻せるのは一部
海外ETFの配当金、および投資信託の分配金は、米国課税(10%)の一部を確定申告の外国税額控除で取り戻せます。
VTは四半期ごとに約2.08%の配当金を出しています。
2.08%の米国課税10%は0.208、このうち外国税額控除で仮に半分戻ってくるとして0.208の半分は0.104%。
100万円の運用では控除額は千円ほどで小さいが、1000万円の運用では控除額が1万円ほどに大きくなります。
しかし、海外ETFの購入や配当金課税のコスト、外国税控除のメリット、投資信託の配当金の国内課税(20%)の繰り延べ効果を考えた時、海外ETFと投資信託にどれぐらいの差があるのか、わからなくなりました。
「しんたろうのお金のはなし」のしんたろうさんが、難しい比較をしています。
課税やコスト、米国とそれ以外など比較する項目が多すぎて、予測が複雑。ざっくり米国に投資するETFなら、投資信託よりやはりETFは有利。
でもETFも投資信託もコスト差は少なくなっており、いい勝負、とのことです。
確定申告が不要ならやりたくない
海外ETFに投資するなら、外国税控除のメリットを生かすため、確定申告をするべし!!となります。
私も確定申告をしたことがあります。が、年度末は仕事が最も忙しいので、必要がない時は、確定申告をやりたくないです。
もちろん、確定申告が毎年必要な人は、慣れているので配当金の外国税控除はそんなに負担になりません。
1000万円以上のリスク資産ならETFで投資するのが合理的
個人的なイメージで、外国税控除額や再投資する配当金額を考えると、シンプルに1000万円以上のリスク資産ならETFで運用して、確定申告の外国税額控除をするのがコスト面でも合理的だと思います。
配当金は再投資した方が複利効果は得られるが、配当金は使う派の人もいるでしょう。
何より、ETFは経費率が低く、セクターや地域など、多様な投資先を選べます。
例えばアメリカに投資先を絞るなら、海外ETFのVTI(全米)は経費率0.04%と、VT(全世界)の0.10よりかなり低いです。
年収が高いなら、なおさらETFはお勧めです。
投資する金額が大きいと、買付手数料が0.45%からさらに下げることができます。外国税額控除で戻ってくる割合も高くなります。
自分のリスク資産の大きさと未来は?
最後は自分がする投資のイメージを具体的にすることが大切です。
特定口座でETFを運用したら数年後に1000万円、15年後には2000万円を超えるかもしれません。
自分の仕事が続けば、月13万円のリスク資産の積立ができます。
つみたてNISAとiDeCoで7万9千円、残り5万1千円を特定口座で運用するとして、円から米ドルへの両替、配当の再投資、外国税控除の手間をかけるなら、海外ETFのほうが低コストで長期投資できると思います。
しかし一方、特定口座のリスク資産は住宅や教育費など取り崩しが優先される口座で、年が進むにつれて、投資信託のつみたてNISAとiDeCoのリスク資産が増えていきます。
ようするに、投資信託の保有額が年々増えて、ETFの保有額は1000万円~2000万円で、ETFのメリットである地域別、セクター別の投資をする予定はありません。
国内、先進国、新興国の投資信託をそれぞれ購入
- 理想は海外ETFで運用して確定申告で外国税控除
- でも確定申告は不要ならやりたくないし、ETFの保有資産額は15年後でも2000万円
- 信託報酬が低い投資信託なら、経費率0.10%ぐらいの海外ETFとのコスト差は小さい
- ETFで国別、セクター別の投資をする予定がない
- つみたてNISAやiDeCoの口座の投資信託の金額が年々大きくなる
以上のことを考えて、最後は、相場が暴落しても、ボタンを一切押さなくても積立と配当再投資を完全自動で、忘れても投資を続けられる、手間もストレスも最小限な投資信託で運用することに決めました。
確定申告が毎年必要になったり、セクター別や国別に投資したくなったら、その時また考えればいいのだと、思いました。
海外ETFよりちょっとコストが高いが、国内、先進国、新興国にわけて投資信託を買うことで、できるだけコストを抑え、定期的にリバランスする手間を選びました。
これが、地味な属性の自分にできる合理的な選択になりました。
定期的なリバランスはトータル・リターンを高めてくれるし、リバランスは楽しいので負担にならない、と思っています。
信託報酬が低いeMAXIS Slimの国内、先進国、新興国をそれぞれ購入します。
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス(0.11826%)
- eMAXIS Slim新興国株式インデックス(0.2052%)
- eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)(0.17172%)
(ベンチマーク:先進国はMSCIコクサイ インデックス、新興国はMSCIエマージング・マーケット・インデックス(韓国を含む))
まとめ:コストと手間のバランスから、投資信託のeMAXIS Slimの国内株式、先進国株式、新興国株式をそれぞれ買う。
次に、これからの積立投資について考えた記事はコチラ↓